概要
アートで知性を拡張し、
社会の未来をひらく
東京大学芸術創造連携研究機構は、あらゆる分野の研究者が連携し、芸術家との協働・連携をしながら知性と芸術を結びつけ、未来を切りひらいていくための研究を行っていきます。同時に教育として、芸術的な感性を培うことで多様な価値観や創造的な発想力を育むプログラムも展開していきます。
芸術は今や、文系の人文知や理系の先端知なども取り込みながら、ジャンルを超えたり、交えたり、壊したり、つくり変えたりと、さまざまな展開を見せています。芸術に関する研究も、美学や芸術学、美術史だけでなく、文化研究、社会学、教育学、認知科学、脳科学、スポーツ科学、情報工学、設計工学、数学など、数多くの分野が取り組んでいて、最先端の研究に大きな示唆を与えています。本機構は、こういったイノベーティブな状況をさらに加速させるために、分野融合型での推進を考えています。
芸術的な感性は、人間の学習過程でも、多様性を身につける上でも、大きな役割を果たすことが分かっています。そして、新しいものを作り出していくために、あらゆる分野で従来とは異なる考え方が求められていることは、もはや言うまでもありません。今日STEAM教育と言われている教育方法において、科学や数学、技術、工学の知見の上に創造的かつ批判的な精神を養っていく上で、芸術の実践は大きな役割を担っており、機構はそうした方向にも即した活動を行っていると言えます。
機構のこうした研究や活動は、座学としての大学の枠組みを超え、また敷居が高いと思われがちな「アート」をより身近なものにすることによって、広く一般社会で活躍する人材を育てる上でも、すなわち既成の思考法に囚われず、さまざまなアイディアや領域横断的な思考法、挑戦的な実践力を養う上でも大いに役立ち、例えば企業が新たに社会活動を展開する際の有能な人材を育てることになります。企業の社会責任が問われ、CSRのような取り組みを行うときに、そうした人材は即戦力にもなり得るでしょう。
だからこそ本機構では、これからの社会に役立つ芸術的な感性を育てていくためのさまざまな場を、人々に提供していきます。
芸術創造連携研究機構 機構長
岡田 猛
部局連携
芸術創造連携研究機構は、総合文化研究科を責任部局として、医学系研究科、教育学研究科、
工学系研究科、情報学環・学際情報学府、人文社会系研究科、数理科学研究科の7部局が連携する研究機構です。
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C総合文化研究科文理融合のアプローチによる基礎研究および前期課程における芸術教育の充実
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M医学系研究科感性豊かな医療人・医学研究者の育成と医療・福祉への貢献
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P教育学研究科乳幼児教育・初等中等教育、⾼等教育・生涯学習における芸術教育のあり方の基礎的・実践的研究
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T工学系研究科建築や設計のためのデザイン思考と芸術的感性の育成
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III情報学環・
学際情報学府情報を切り口とした芸術基礎研究とメディアアート等の情報テクノロジーをベースにしたアートの実践 -
L人文社会系研究科芸術の理論的・歴史的研究と現代の創作活動との融合
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MS数理科学研究科数理科学に基づく芸術創造のための基礎研究と芸術教育の充実
活動への取り組み
芸術創造連携研究機構は、基本活動として共同研究を行うと同時に、
さまざまな活動に取り組みます。
そのほかにも以下のような活動を準備しています。
創作活動を支援し、共同教育研究の拠点となる「アート・ラボ」、芸術資源を収集・保存し、活用していく「クリエイティヴ・アーカイヴ」、芸術家が滞在して活動を世界に発信する「アーティスト・イン・レジデンス」も準備しています。
ロゴについて
“ACUT”は、[Art Center, The University of Tokyo]の頭文字ですが、文字列に含まれる “ACT”=「行動する」や、“ACUT(E)”=「鋭い、先の尖った」という意味合いも意識して、ロゴとしてデザインしました。文字の並びのバランスを崩すことで、「既成概念にとらわれずに、柔軟な発想を持って目の前にある障壁を乗り越える力や、前例のない取り組みにチャレンジする躍動感」を表現するとともに、「学部やジャンルを超え、感性と知性が溶け合うことによって、新しい時代をつくっていこう」という気持ちを込めています。カラーは、東京大学シンボルマークを踏襲することで、統一感を図っています。
寄付・助成
本機構は以下の団体の助成を受けています。