グラディス・ル・カフ講演会「巨匠・師弟関係・工房 ルネサンス期ヨーロッパ絵画における手仕事と作者性」
Maîtres, disciples et ateliers travail manuel et auctorialité dans la peinture européenne de la Renaissance 2024/5/21(Tue)15:00-16:30 東京大学駒場Iキャンパス 18号館4階コラボレーションルーム1  2024年度

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日時: 2024年5月21日(Tue)15:00-16:30
場所: 東京大学駒場Iキャンパス 18号館4階コラボレーションルーム1 University of Tokyo, Komaba Campus I (Build. 18, 4F, Collaboration room 1)
講演者:グラディス・ル・カフ Gwladys Le Cuff(パリ社会科学高等研究院)
司会: 松井 裕美(東京大学)
開催方式:対面 
主催: 東京大学若手研究者育成支援制度
共催: 東京大学芸術創造連携研究機構

ルネサンスでは絵画制作に際して、徒弟制度から親方と助手の緊密な共同作業にまで至る、様々な関係性が工房で築かれた。複数の工房が協同し制作する大規模な作品には、異なる様式が併用されることもあった。チェンニーノ・チェンニーニの『絵画論』は、見習いの芸術家たちに制作の諸側面の習得を促すものであったが、多くの場合には芸術家の仕事は、集団的かつ階層的に分担されていた。本講演会では、こうした状況で認められるようになった、創造や模倣、実践のサイクルにおける作者性の概念について検討する。フィレンツェでは1480年代以降、師匠が作品を手掛ける必要が契約書に記されたとされている。またアルベルティの『絵画論』から数十年後、素材の貴重さよりも素描の質が重視された。さらにデューラーの自画像やベッリーニの晩年の自由な創作活動に見られるように、芸術家の個性の追求の表れは16世紀初頭にまでさかのぼる。レオナルド・ダ・ヴィンチは「創造」という言葉を絵画と結びつけることで、芸術家と、創造主であるデミウルゴスとを同一視した。自由主義芸術の地位を主張するだけでなく、マニエリスム時代に真の宮廷人となった高貴な芸術家の社会的地位の向上は、芸術家の理想化された概念の出現と、肉体労働に対する芸術理論の両義性について、問いを投げかけるものである。

(掲載日:2024.4.17)