ぺぺ・カーメル講演会「同時対比の法則 : 新印象派からオプ・アートまで」
2024年6月19日(Wed)15:00-17:00 オンライン 2024年度

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日時: 2024年6月19日(Wed)15:00-17:00
開催方式:オンラインのみ(下記「参加申し込み」リンクよりお申し込みください)
講演者:ぺぺ・カーメル Pr. Pepe Karmel (New York University)
司会: 松井 裕美(東京大学)
主催: 東京大学若手研究者育成支援制度
共催: 東京大学芸術創造連携研究機構
後援: 鹿島美術財団

印象派の絵画に認められる点描と、対照的な色相の並置の強調は、印象派絵画とは異なる様式を生み出した。新印象派の手法は、キュビスムの画家ロベール・ドローネとソニア・ドローネーの「同時的」絵画や、ヴィクトル・ヴァザルリ、リチャード・アヌスキェヴィッチ、ジュリアン・スタンチャックといった芸術家による抽象的なオプ・アートにも継承されることになる。オプ・アートの制作に携わった者たちが、ゲシュタルト心理学についての知識を利用したことも重要である。こうした心理学的な概念と芸術概念の結合は、視覚に関する神経学の分野での近年の研究と、どの程度一致しているのだろうか。新印象派の構図は、人物や物体を平面的なシルエットに縮小し、個々の形態を均質な視覚野の経験に従属させた。構図の対称性と質感の均質性は、特に1880年代後半のジョルジュ・スーラとポール・シニャックの作品に顕著である。ドローネーの「オルフィスム」は、異なるソース(具体的には、ビザンチンのモザイクの色彩と、分析的キュビスムの幾何学的格子)に由来するものの、ほぼ均質な視覚野を全体として強調する点では類似している。オプ・アートはまた、ミニマリズムと結びつけられることの多い、対称性と反復への強い傾向も示した。本講演では、現代美術においてこうした傾向が繰り返された要因を考察する。

(掲載日:2024.5.20)